40代薬剤師の学びなおしブログ

医療を幅広く学びなおしてみた

医療4.0 これからのヘルステック戦略 その1

今回は少し方向性を変えて医療のデジタル化に関する書籍を読んで行きたいともいます。その書籍とは
「医療4.0」加藤浩晃氏著 日経BP
病院だけでなく薬局でも急速に普及させようとしているデジタル化ですが、なぜ必要なのか、今後どうなっていくかを言及していく本です。
 
内容
「第1章 現在の医療は医療提供体制の地域間格差と医療者の労働環境、高騰する医療費と大きく3つの課題があるが、2024年から医師の働き方改革で時間外労働が年960時間以下の規制が敷かれる。これにより医師の労働供給量が大きく減少し患者の需要に対し不足する。これを補うためにデジタル化の大改革が必要になる。」
 
考察
医師は高度プロフェッショナルとして従来の働き方改革の外でしたがついにメスが入りますね。これによりどう変わるのか、著者の先生の見方では今まで月100時間以上の残業が当たり前とのことなので月80時間以下の残業だとかなり医師のマンパワーが不足します。特に地方だと医師の絶対数も少なく過疎地域は深刻ですね。それにしても今までほとんど電子化してなくて突然電子化するとなると間違いなく大混乱は起こるでしょう。というか現時点でもマイナンバーカードで医療者も患者側も混乱は起こっているくらいですし、薬局でのオンライン服薬指導もかなりのハードルです。それと患者側は高齢のかたがメインなのでついていける訳がない。これは私自身も非常に感じています。高度な内容よりもまずはボタン1つで簡単に操作できるデバイスなどがあるといいな。。

「エビデンス」の落とし穴 その5

今までエビデンスの信頼性や怪しい情報の見分け方、よくあるエビデンスの判定など見てきましたが、それでは実際に役立つ健康情報の見つけ方は?ということで最終章を見ていきましょう。
 
内容
「現代では目新しい情報が毎日のように出てすぐに飛びついてしまいたい場合はどうしたらいいか?その場合はとりあえず何もしないこと。医療情報は命に関わる重要なことなのでまずは情報収集を。
テレビやネットからの収集では公共のものが質が高くNHK厚労省国立がんセンターなどの公的機関の情報がお勧め。そして事実と意見を分けて考える癖をつける。例えば「薬を投与し平均余命が3ヶ月延びた」のうち3ヶ月延びたのは事実だが効果があった、なかったというのは意見である。
そしてエビデンスや情報より大切なものは主治医との信頼関係を築くことが最も大切である」
 
考察
目新しいものに飛びつく前に一旦止まって情報収集し熟慮する、これは医療以外の生活全般に対して重要なことだとこの歳になってより強く感じることです。ネットが普及しYouTube やその他メディアにこぞって参加しそれぞれの専門家が毎日大量に情報発信をしており情報の洪水が起こっている状態で何を信じたらいいか。。話すとキリがないので医療に関して言えば論文も質の高い論文を探して読んで吟味してだとハードルは高いですね。やっぱり公的な機関はスポンサーも付いていなく、中立な立場にあるはず〔それでも製薬会社との関わりはやはりあるようですが〕なのでそれを信じて情報収集をしていくのが1番確実なのかと思います。あとはより医療者と国やメディアの関係性がよりクリアになってより良いエビデンスが手に入れやすくなることを期待したいです。

「エビデンス」の落とし穴 その4

前回までエビデンスの質や実際に巷に出ているエビデンスの検証を見てきましたが今回はこんな謳い文句に気をつけろという警鐘の章です。
 
内容
「知識で人の考えは変えられない 事実やデータは人の意見を変えるのには十分ではない。正確な情報は人間の論理的な部分に訴えかけるが、怪しい情報は感情を含む人間の全体に訴えかける。ではこの怪しい情報のを見極めるテンプレートはどういったものか。
①「100%」「絶対」「奇跡の〇〇」 
②「免疫力アップ」 
③「〇〇しないと⬜︎⬜︎になる」 
④有名医師からの推薦・個人の体験談  
⑤「自然派」を強調 
⑥〇〇学会公認
 
考察
この章もとても面白く勉強になりました。人には様々なバイアスがかかり、自分がこうだと思ったものはなかなか正しいデータが違うと示していてもなかなか意思変更はできないどころか、間違っていることにすら気づかない。耳の痛い話です。また同調圧力とでもいうのか周りがこうだから自分もそうしようとか、世間では健康にいいからと言って盲目的に信じてしまうことが多いのなんの。。さらに殺し文句がエビデンス
この本を読んで自分でしっかりと信頼できる情報を調べて納得してから試したり人に発信しようと思うようになりました。医療にしてもビジネスや投資にしても怪しい情報が多すぎてカオス過ぎます。

「エビデンス」の落とし穴 その3

今回は私が最も気になっている第3章エビデンスが分かれる健康情報本当はどうなの?ということで早速見ていきましょう。
 
内容
糖質制限は健康にいいのか?→現時点での結論 短期的には多くのエビデンスがあるがだから正しいとは言えない。バランスよく適度にが良い 
 
コレステロールは体に悪い?→現時点での結論 高すぎても低すぎても良くない。欧米のエビデンスを日本人にそのまま当てはめる事はできず日本人の信頼できるエビデンスは多くない。今後の信頼できるエビデンスが増えることに期待する。
 
赤肉はがんになる?→IARCの分類によると2番目に高い2Aに分類され食べ過ぎると可能性は高まる。しかし日本人はもともと赤肉の摂取量は多くないため食べすぎなければ良い。
 
アルコールは少量なら体にいい?→最も健康にいい量はゼロという研究もあるがワインを含む地中海食は欧米で健康にいいというエビデンスがたくさんある。よってほどほどに。」
 
考察
この章はとても書ききれないくらい内容が濃く非常に面白かったし勉強になりました。ぜひ読んでいただきたいです。結局エビデンスは質が重要だということが分かりますし、何事も確率でしかないため考えて色々と天秤にかけて取捨選択をしていく必要があることです。医療以外にも色々と調べて比較検討してアクションを起こす、結局うまくいくかどうかは蓋を開けて見ないと分からないということかと思います。
しかし何かを調べ、考え、比較検討するということはうまくいく確率を上げるということにつながります。世の中に溢れる雑多な情報に惑わされず、真理をつく、素敵です。。

「エビデンス」の落とし穴 その2

エビデンスについてさらに深く掘り下げていきましょう
 
内容
エビデンス重視の医療になったのは最近の話で1990年代くらいからである。現在の医療ではその医師の経験やさじ加減で治療するのではなくガイドラインに基づく。ガイドラインは信頼できるエビデンスの蓄積の結果である。しかし一方でエビデンスを拡大解釈した一部の免疫療法、健康食品などがあったり、研究の都合のいいところだけをピックアップチェリーピッキングでがんは放置しろという医師もいる。」
 
考察
ガイドラインが信頼できるエビデンスの積み上げの結果であるということに非常に重みを感じる一方、チェリーピッキングに関してはやはり1番問題ですね。結局メーカー主導の臨床試験の場合はこれが大きいと感じますし、以前勉強した「知ってはいけない薬のカラクリ」谷本哲也氏著にも記載がありましたが医師と製薬会社が結託して意図的に都合の良い結果を選ぶといったことがあるのです。そして巷に溢れるがんの自由診療や怪しげな健康食品。この章を読んで思ったのが当たり前のようですがエビデンスレベルの高いダブルブラインドやメタ解析のエビデンスを信じた方が良いという結論です。しかしがん治療で標準治療以外に色々と挑戦したいという場合、これはどうしたものか。エビデンスレベルの高い治療は保険適応になっているんですよね。。。

「エビデンス」の落とし穴 その1

世に溢れている健康情報には実に胡散臭いものも多く、専門家が紹介している健康法なども糖質制限がいいとか糖質もバランスよく取らないとダメだとか相反する主張が多く、エビデンスがしっかりしているのだろうか感じることが多くどれを信じたらいいのか、ということが多すぎませんか?
そうこのエビデンスについて語っているのがこの本
エビデンス」の落とし穴 〔健康にいい情報にはランクがあった〕 松村むつみ氏著
筆者の方は医師で放射線を専門にしており、今は画像専門医をしている傍ら、一般人向けに医療リテラシーを普及させる活動をされています。
 
それでは現代の医療の根幹となっているエビデンス〔科学的根拠〕の実態について見ていきましょう。
 
内容
エビデンスは医療では科学的根拠という意味で使われそれに基づいて診断・治療が行われている。しかしエビデンス=たった一つの真実とは限らない。エビデンスには信頼度により6つのレベルに分類される。エビデンスありをPRする怪しい食品や治療が溢れているが玉石混交である。大切なのはエビデンスの本質を知り、選択することである。」
 
考察
エビデンスは絶対のものではないという記載ですが絶対のものはこの世にはないということですね。まあ今の医療でも完璧になんでも治せるわけではないので当然と言えばそうですが。しかし結果の相反するエビデンスについてはどうなのか?この先生の記載では対象の偏った不完全な研究、研究のデザインの仕方の違いや結果の捉え方とのことです。え?と思ってしまいましたがこれが事実なのでしょう。それにしてもテレビなどで専門家と称する方が述べる意見も一番低いとはいえエビデンスになるというのもなんだかなあ。エビデンス好きの私も考えを改めねばいけない時が来たようです。

免疫力をアップする化学 その7

今回は最終章の自然免疫を高めるものについて紹介です。
 
内容
「パン酵母から取り出したグルコポリサッカロイド(GPS)は米国の臨床試験ですぐれた免疫活性作用が認められがん抑制効果が見られた。植物由来のフィトケミカルは強力な抗酸化作用があり、ポリフェノール、カロチノイド、硫黄化合物、テルペン類、βグルカンなど自然免疫力を高めることができる。またこの抗酸化作用はアンチエイジングにも効果的である。また、プロポリスも強い抗酸化作用があり、アピセラピーと呼ばれ抗菌、抗炎症、抗アレルギー作用があるほか、抗がん作用についても研究が盛んになっている」
 
考察
フィトケミカルは以前から注目していましたが、パン酵母やプロポリスにも抗がん作用があるとは!やはり現代のケミカルな食事が多い中、自然な食品に注目が集まるのは興味深いです。やはり急速な技術の進歩で化学調味料や保存料が爆発的に普及し、便利で美味しいジャンクな食品が増えましたがそれに人体が追い付いていないと。糖も吸収を速めてすぐにおいしいと感じるように開発されたり、塩分やトランス脂肪などいかに美味しく中毒性のあるものを開発するかに偏り過ぎて健康が置き去りにされている感があります。とはいっても現代社会、こういった便利な食事は避けられないので野菜やキノコ、発酵食品も摂りつつ、たまにジャンクなものもこれからも食べます。次郎系ラーメンの中毒性、ストレス解消になりますから(笑)