40代薬剤師の学びなおしブログ

医療を幅広く学びなおしてみた

医療4.0 これからのヘルステック戦略 その8

今まで最近の医療情勢やテクノロジー、製品の開発法、マーケティングについて見てきましたが今回は最終章どう考え行動すべきかというマインドについて
 
内容
「医療・ヘルスケア領域においてはノウハウではなく各分野の専門家に知見を聞けるノウフー〔Know  Who〕が大切である。自分の専門だけで事業の全てを行うのは至難。
チャレンジは薄く広く、積極的にチャレンジする。自分の中である程度の知識や経験を身に付けてから出ないと行動できないという人が多いが変化も早い時代なのでまずは果敢にチャレンジし、場合によっては損切りすることも重要。
最後に本当にやりたいことに向き合う。そのためには、後悔なく思い切りチャレンジする、日々精進を怠らない、プロとして胸を張る。を行動指針としている」
 
考察
この本は中盤あたりから最新の技術や将来のぶっ飛んだテクノロジーの予想、後半部のマーケティングや著者の先生の私見などかなり面白くなってくる本でした。ノウハウではなくノウフーというのも聞けば当然のようですが言われないと気づかない重要な要素です。専門領域は専門家に任せるというのがこの医療領域では重要だと改めて思います。これを薬剤師に置き換えるとどうでしょう、専門の薬剤師。。。今はあまり浸透していませんがこれから薬剤師も専門化していくのは間違いないと思います。では専門の薬剤師をどうテクノロジーと結びつけるか?これはなかなかどうしたものか。ITと薬剤師は?まだ何も想像もできない未知の領域。ここに今後の薬剤師の活路があるのかと期待したいです。オンライン服薬指導とか調剤の自動化などよりもぶっ飛んだイノベーション、楽しみです。

医療4.0 これからのヘルステック戦略 その7

第5章どのようにサービス製品を生み出すか。具体的なマーケット戦略についての記述の章です。
 
内容
「製品・サービスを開発するときに最重要なのは求められるものを作るニーズドリブンである。開発は4段階で①課題発見 ②解決策の検討 ③MVPと検証 ④社会実装
①ニーズから考える。自分の経験やヒアリング。既存品など事例から考える。他の領域を参考にする。未来にあるべきものから考える
②競争優位が持続できるか なぜ自分がやるのか なぜ今やるのか
③市場を調査しターゲットを選定。法令やルールを知る。マネタイズを考える。未来への視点。政策の会議議事録をネットなどで調べる。
④製品サービスを知ってもらう。継続的に使ってもらう。」
 
考察
ニーズドリブンは課題やニーズを先に聞き取りする、つまり顧客を先に見つけてから商品やサービスを開発するという手順で、これは完全に虚をつく概念でした。今まではこの商品を誰にどうやって売ろうというのが私の中では常識でしたが先に対象顧客にヒアリングを行ってから極端な話、受注生産という方式を取るという。確かに個人で事業をやる場合は製品開発をしてから売るとなるとそれが売れない場合は大赤字になるリスクがありますし、必要とされないものを作るのは虚しい、自己満足では難しいと。
もっと大きな目で見ると医療関係者にマーケティングの観点があまりにも欠けるという話になってきます。というか国から言われたことをその通りにやって報酬をもらうという方が的確なのか。医療従事者もそれぞれ個人事業主という観点で動けるとちょっとは医療も変わるのかもしれませんね。

医療4.0 これからのヘルステック戦略 その6

この本で現実的な医療のデジタル化の現状と展望について見てきましたが次の4章はかなり飛躍する面白い内容となっています。それでは
 
内容
「日本の医療は産業のひとつと考えると現在は成熟期を超えて衰退期に入っていると考える。また環境としても少子高齢化が進みかなり厳しい状況となっており医療4.0こそ新医療1.0となるべきである。そのためには医師(その他医療関係者も)マインドを新しいOSにアップデートする必要がある。2030年ころにはDXを超えたBeyond DXが起こるものとされ、既存の価値観が崩れ、多様性が普及し、モノと情報のシェアの時代となる。そして病気の概念の変化が起こる。
2040年に向けた展望として3つ
①Beyond DX:DDDモデル 患者の状態に応じて医師がどの程度介在するかを個別化し医療を提供するモデル
②宇宙医学の普及:宇宙環境での医学の研究が進み、医学と工学の融合が進む
③精神と肉体の分離:メタバースの出現によりペルソナの使い分けが進み、いくつもの人生を並行する。人間の本質は心であるという概念になっていると予想 」
 
考察
まるでSF映画のような話ですがここ最近のIT技術の進歩を考えると空想の世界ではない気がします、というよりもこうなったら面白いなと。というのも2000年くらいからしばらくはスマホがでてネットが高速化されたくらいにしか感じず、スマホもパソコンを小さくしたようなものじゃないですか。でもここ数年でブロックチェーンやらAIの普及やら、民間のロケットが出て急激に進歩しており、これからは指数関数的に進歩していくという予想もあるくらい。いわゆるシンギュラリティが近いのかもしれませんね。ターミネーターみたいに機械が自我を持たないといいのですが・・・

医療4.0 これからのヘルステック戦略 その5

前回まで押し寄せるデジタル化により薬局、薬剤師の存在意義について考えてしまいましたが今回第3章の終わり、薬局のDX化について
 
内容
「病院以外にも薬局でDX化が進んでいる。患者や生活者、薬剤師に対して新しい価値を創造する薬局DX。薬局は株式会社化が認められているためより早くDX化が進行していくだろう。現時点ではオンライン服薬指導、服薬指導後のフォローアップなどが進められており、また、AIを活用した処方内容チェックや薬歴作成が実用化されている。調剤業務も一部自動化されていて急速に普及している。
 
さらなる薬局のDX化の展望
ドラッグストアでの「ついで買い」ロボットの活用:オンライン服薬指導を受けた患者がロボットを遠隔操作し日用品も一緒に購入できる仕組み。
零売薬局の増加:処方箋なしで買える医療用医薬品も薬局DXによって効率的な運営により零売薬局が増えていくと予想。比較的健康な若年層を対象にセルフメディケーションが普及していく。
 
考察
どれも今まで行っていたものを手段を変えたり呼び方を変えたりで、正直他の医療分野と比べると見劣りします。結局テレフォンフォローも今まで行なっていたもので調剤の自動化も少し早くなるかもですが仕上がりは人がやったものと変わりはないです。オンライン服薬指導も使い勝手が悪く患者側も困惑している現状です。零売薬局も1類医薬品が医療用の非処方箋薬品と同じ成分のものが多く発売されています。
そうではなくもっと破壊的なイノベーションが必要だと強く感じるのです。薬剤師はもう何十年も変わってない。保険調剤だと規制が厳しいため保険外で取り組みを行う必要があると。何か良いアイデア、これからじっくり考え抜きます。

医療4.0 これからのヘルステック戦略 その4

第3章医療とテクノロジーの現状と展望続き
 
内容
ウェアラブルバイスの多様化
Apple Watch:心電図アプリがプログラム医療機器として承認
フリースタイルリブレ:グルコース濃度を連続的に採血なしで測定可能。
 
遠隔医療の未来
遠隔手術:5Gの高速通信とロボット支援手術を組み合わせることで触覚のような微細な感覚も遅延なく伝送できるようになる。今後もダビンチのほか色々なロボットが出てくる。
 
バーチャル治験:在宅で行う治験でウェアラブルバイスにより生体データの収集が可能になり在宅でも十分なデータが取得できるようになった。」
 
考察
Apple Watchが心電図として認定されているとは驚きです、正確には心電図のアプリが承認されているわけですが。だいぶ前の漫画で「私の鼓動が止まったら自動的にその情報が転送されて・・・」というフレーズがありましたがこれが現実となったわけです。そして遠隔手術ロボットも触覚まで感じられるようになるとは!信じられない現実ですね。
そういえば薬局でもデジタル化ではないですが当日便サービスが普及して来ていてAmazonやwolt  を利用して薬を即日配達するサービスが導入されています。そのうちドローンが普及すれば1時間以内に配達することも可能になるのではないかと考えられます。調剤も自動化、配達も即時に。しかし思うのです。「薬局という場所はいったい、薬剤師の役目とは何なのか」と

医療4.0 これからのヘルステック戦略 その3

前回に続いて第3章医療デジタル化の現状と展望について
 
内容
「DXの実行までの3つのプロセス
 
①デジタイゼーション: 部分のデジタル化
アナログで運用されていたものを一部デジタルに置き換えるもので、対面診療をオンラインに置き換えたり紙の処方箋をスキャンしてPDF化し電子管理するなど
 
②デジタライゼーション: プロセスのデジタル化
業務プロセス自体をデジタル化すること。部分のデジタル化を蓄積し、そのデータを活用する。デジタルデータを病院と薬局で共有し、飲み合わせや薬の準備、服薬指導の記録などにつながる。
 
③デジタルトランスフォーメーション DX
プロセスのデジタル化で蓄積されたビッグデータを活用し新たな価値を創造する。例としてサービスの品質や精度を高めること、大量生産によるコストの削減、サービスの自動化など。しかし医療においては電子カルテさえ十分に普及しておらず、現状は厳しい。」
 
考察
この本が出版されたのが2022年6月で、現在が2023年の9月、この一年と少しの間ですが、薬局においてもマイナンバーカードが普及してきており、服用歴の確認や保険情報の取得などもできるようになって来ています。間違いなくデジタル化は進んでいる一方、マイナンバーカードの不祥事や不具合も出ており、高齢の方を中心にデジタルに対するアレルギーの方も少なからずいらっしゃいます。保険証の廃止は強制ではなく選択制がよいのでは?
しかしこのビッグデータは想像を超えて色々なことができそうな予感です。このデジタルインフレは薬剤師のみならず医療従事者自体が不要になるのでは!などと思ってしまうくらい。しかし、人の話し相手とか、人を楽しませる医療なんかがあるといいなと感じるこの頃です。

医療4.0 これからのヘルステック戦略 その2

引き続きデジタル化が医療に与える影響について
 
内容
「第2章 医療の革命第4弾=医療4.0は3つのキーワードがある。それは
多角化 ②個別化 ③主体化である
 
多角化:病院以外に在宅やオンラインで診療が可能になる。 アップルウォッチやオンラインシステムの活用
 
②個人化:大規模な集団にアプローチするのではなく個人に最適化された医療、オーダメイド化が進んでいる ビッグデータ AIの活用
 
③主体化:今まで医師任せだった医療がIOTやAIの発達により患者自身がデータを管理することにより意識が向上。医療側もリアルタイムにデータを確認できる。PHRの活用
 
考察
やはりどこを見てもAIやビッグデータは出てきます。最近はCHAT-GPTなどよりAIが身近なものになってきており、またアップルウォッチは心電図も測れる優れものになってきているようなので、これは革命という他はないと思います。が、しかし本当にリアルに診察しなくて大丈夫なんでしょうか?
映像で倦怠感や呼吸、顔色、体温やその他のバイタルサインが見れるのか?本当にごく軽症の人向けですよね。
それと主体化の記載、これは医療側から見ると、見方によっては脅威になりますねー。薬剤師は特に、情報提供が仕事のメインになるが患者が積極的に情報を入手する時代。これは本当に難しい。。。